染色ユニットが紡ぐ鹿児島の歴史 

鹿児島県歴史・美術センター 黎明館 KITTANAI 『ハベルハベラ』展

2021年

令和3年度の鹿児島県文化芸術振興事業の一環として、2021年12月に鹿児島県歴史・美術センター「黎明館」にて開催した『ハベルハベラ』展。

本展を一緒に作り上げたのは、染色家ユニット「KITTANAI(キッタナイ)」。泥染めをはじめとする天然染色を行う奄美大島在住の金井志人さんと、植物染色ブランドを主宰する沖縄在住の橘田優子さんが、自然に宿る美をテーマに作品を制作しています。

鹿児島市の文化施設が並ぶ一体は「鹿児島文化ゾーン」エリアと呼ばれ、その一角にあるのが黎明館です。貴重な郷土資料を数多く収蔵し、鹿児島の民俗文化の価値を過去から現在、そして未来へと伝えていく大きな役割を担っています。

展示は、鹿児島という土地を大きな時間軸で俯瞰し、海道で結ばれ運ばれた文化をインスタレーションで表現。黎明館が所蔵する丸木舟と追い込み網、頭上には天然染色で作り上げたKITTANAIの作品。風に乗って海を渡るチョウをモチーフにしています。過去の民俗資料と現在の染色文化を織り交ぜた空間作品は、歴史の海を渡って伝えられる物事の本質への問いかけとも見て取れます。

芸術に触れることで感じるものは人それぞれですが、子どもたちは作品の迫力に心を震わせ、大人たちは幼き頃の蘇る記憶に思いを馳せ、心を踊らせていたのではないでしょうか。

芸術文化が深く根ざしたこのエリアの魅力を引き出すことを目的に企画した本展。私たちマンモスにとって、現代に暮らす鹿児島の人々との文化交流の場となる貴重な9日間となりました。