2018年
東シナ海に面し、鹿児島県下有数の漁獲高を誇る港街、いちき串木野市。温暖な気候と自然に囲まれた豊かな土地からは、さつま揚げや芋焼酎、柑橘類など、実に多くの特産物が生まれています。一方で、歴史的・文化的にも重要な拠点であったことは地元でもあまり知られていません。その背景を探るための旅のツールとして、この『PASSPORT』は生まれました。
約150年前の幕末に、薩摩の若き武士たちが英国留学へと旅立った海岸。ヴィンテージの音響スピーカーを備え、週末には爆音のジャズ喫茶と様変わりする老舗喫茶店。野生化した猿たちが住む無人島。著名なフランス人写真家がアート作品へと昇華させた奇祭のひとコマなど、「歩いて」「学んで」「体験する」という旅の醍醐味のフックになるようなコンテンツを紹介しました。
歴史や文化、食文化やアートと、ジャンルや時代を横断して、さまざまな視点が交錯して、いちき串木野の意外な一面に出合える。その誌面をつくるための地元の全面協力には、職員や地域おこし協力隊の尽力があったことはいうまでもありません。二人三脚で、編集会議やリサーチ、取材交渉などを行えたことで進行もスムーズに進みました。航空会社の機内誌やWEBコンテンツとしても配布されるなど、発行から2年以上も重版されている『PASSPORT』。これからも少しずつリニューアルをしながら、より多くの人にいちき串木野市の魅力を伝えて欲しいと思います。