仮囲いを色鮮やかに飾る、おしゃべりな壁。

TALKATIVE WALL コンセプト立案、PR企画

2019年-

天文館は、鹿児島市内にある南九州随一の繁華街。

天文館本通り、いづろ通り、天文館G3アーケードなど10以上の通りを含めた地域が「天文館」と呼ばれています。そして、このエリアの中心に位置する商業施設「タカプラ」は、お決まりの待ち合わせ場所として昔から親しまれていました。

2018年、再開発によりタカプラは閉館し、新たな商業施設に生まれ変わるための建設がスタート。
街が一時的に静まる中、今までもこれからも、変わらず市民の待ち合わせの場所であるように、仮囲いを使ったアートプロジェクト「TALKATIVE WALL」のコンセプトプロデュースとディレクションを行いました。

街の賑わいは、時の流れによって移り変わってゆくもの。
かつて、流行の発信地だった建物は取り壊され、次なる施設へ、新しい街並みへと変わっていく。

私たちは、移りゆく街の賑わいをただ追うのではなく、変化する街の変わらない人情やこれまでの歴史をこの先の未来に残していきたいという思いのもと、このプロジェクトに携わることになりました。

長い工事の期間中、仮囲いを色鮮やかに飾るのは、街の人たちの活きた声。
ビルの建て替えが終了すると、この仮囲いはなくなってしまいます。けれど、どこか物寂しい印象の仮囲いを白紙のキャンパスに見立て、期間限定の「声でつくる情報発信の場」を設けました。

展示期間は2回に分け、それぞれにテーマを持たせています。
第1回のテーマは、「わたしと天文館と、時々、想い出話」。今も先祖代々商いを受け継ぐ人、商店街組合・町内会員の人など、この地に所縁のある地元住民に一人一人インタビュー。それぞれに抱く天文館の懐かしい思い出や当時の活き活きとした街の様子を伝えました。
第2回のテーマは、「天文館の街歩き」。かごしま探検の会・東川隆太郎さんとともに天文館を歩き、歴史の痕跡をたどったコラムを掲出。時代とともに大きく姿を変えてきた街の様相と、そこに住む人々の営みや娯楽を追体験できるようなコンテンツを発信しました。

街ゆく人々は、歩きながら、あるいはふと立ち止まって、知られざるこのエリアの歴史を読む。
そして、天文館の街を歩き、友人や家族とこの街について語り合い、賑わいが生まれる。時代は変わろうとも、やっぱり天文館が好きだという地元民の強い愛に支えられたプロジェクトとなりました。

  • client :鹿児島市、天文館にぎわい通商店街振興組合