陶の里の魅力を発信
つくり手とつながるクラフト市

クラフトイベント「GO KASAMASHIKO」企画運営

2020年

美しい自然に囲まれ、創造性を育む文化が息づく街、笠間と益子。「GO KASAMASHIKO」は、茨城と栃木の県境を挟んで隣接し、陶器の産地として共に歩み続ける両地の魅力を発信するプロジェクトです。

2011年、東日本大震災により笠間・益子地域は甚大な被害を受けました。陶器市に向け準備を進めていた矢先、作家たちは地震によって作品や窯を失い、制作活動ができない状況でした。震災後も放射能汚染による風評被害のために陶器市は開催できず、観光客も減少。

これまでも作品を買いによく足を運んでいた街と作家のために、自分ができることはなにか。まずは現地に足を運び、仲間とともに現地の声をひたすら聞いて歩いたことを鮮明に覚えています。そのなかで『人が来ないなら、自分たちで売りに行こう』という声がきっかけで、いつしか僕たちの目的は若手作家を集めたマーケットを東京で開くことに方向性が決まっていきました。同年11月に東京で開催したマーケットでは、総勢80名の若手作家が集まり、器をきっかけにつながる場を作ることができました。それから9年、現在も日本各地で笠間と益子の作家の人情とモノづくりの素晴らしさを伝える展覧会を2、3年に一度開催しています。2020年は『GO KASAMASHIKO via TOKYO 2020』として30名以上の陶作家が集まり、渋谷ヒカリエを本拠点にほか都内5カ所のサテライト会場において、それぞれの視点で両地の魅力を編集しました。

僕たちが作る空間は、入場者数や売り上げなど目に見えるものよりも、来てくれた人やスタッフの体験を大切にしています。当たり前なことですが、一番欠けてはいけないことだと思っています。達成感は、数字に比べたらすぐに味わうことはできないかもしれません。けれど、小さな出会いや発見がひとつひとつ紡がれて大きな繋がりとなっていった「GO KASAMASHIKO」のような場づくりをこれからも続けていきたいと心から思います。